マンション管理士日記

日々の生活であったこと、思ったことを書きとめるコーナーです。

■2017年7月16日(日)  現場第一主義を!

 7月16日のある理事会。管理会社から、住民の投書に基づく次の報告があった。 
 「自分の住戸の横のバルコニー(建物の妻側壁面に面して完全に区画されており、仕切版を外さないと自由に出入りできない専用使用権の無い共用部分)にハトが去来し、ハトのフンで非常に汚れている。清掃員に清掃を頼んだが共用部分なので理事会に話してほしいと言われた。」
 報告のあと管理員から「バルコニーの清掃をしてもすぐにハトが来てフンで汚れる。原因となるハトの対策調査を専門会社に依頼したところ、数匹のハトが頻繁に立ち寄っているが、まだ巣は作っていない。ハトが巣を作る前に手を打つ必要がある。ハト除けの対策方法は、・・・」と説明があった。
 説明の後、ある役員が「ハトは巣を作るとどんなに追い払ってもまた戻ってくる。ハトの巣ができているだろうからそんな対策は効果がない。」と発言した。先の管理員の発言(ハトはまだ巣を作っていない)を否定するものであるが、本人はこのマンションの長年の居住経験から、ハトはすでに巣を作ったものと考えているようだ。そのあと別の役員からは、自宅で行った効果のあるハト除け対策が紹介された。ただ、議論はここまで。ほかの役員は反応がない。一つには「専用使用権のない共用部分のバルコニー」がイメージできない。自宅の南北のバルコニーは居住者が自由に立ち入りできる部分となっている。このマンションに完全に区画されたバルコニーがあったとして、それがだれの責任で清掃するべき場所なのかを明確に認識できていない。
 結局理事会は、投書のあった「ハトのフンの清掃」を今回保留とし、ハト対策を含めて次回理事会に答申するよう理事会内の部会に検討を依頼した。
 この理事会審議で最大の問題は、役員の誰も現場を見ていないことにある。私は理事会前に現場を確認し、そのバルコニーが完全な共用部分であることを分譲時のパンフレットで確認していた。ハトの巣はまだなく、ついたてに常にハトが止まっていることや、ハトのフンでバルコニーがどの程度汚れているかも見ていた。
 理事会審議で時に発生する問題は、「現場を知らないで(見ないで)議論すること」だ。あまり大きくないマンションで、だれもが建物の隅から隅まで共通した認識を持っていればよいが、ある規模以上の大型マンションになると、参加している理事が現場を知らないと議論ができない。また発生している現場の状況、状態を見ずに、頭の中で想像しながら議論しても適切な結論にたどり着けないだろう。
 複数回に渡る継続審議事項であれば、次の理事会までに見に行くこともあるだろう。本当に重要な事案なら、理事会中に役員全員で現場を見ながら議論してもよいだろう。1回の理事会で結論を出すならば、管理会社や担当役員はプロジェクターを使って現場の様子を説明してもよい。最低限現場の写真を配付する方法もある。ともかく、理事会は常に現場第一主義で審議し、机上の議論を避けるべきであろう。《めでたし、めでたし》

■2017年6月2日(金)  コンサルは「先」か「後」か?

 6月2日、以前規約改正でお世話になった管理組合の規約改正委員長から、「先週総会が無事終わり『現に有効な規約』も署名押印して保管しました。」と連絡があった。この管理組合は2年前に大幅な規約改正が総会で承認されたが、その後も2年間実際に運用しながら、規約、細則の細部まで見直しを行っていた。そして今回の総会承認後に規約第82条(規約原本)に従い、「総会で承認された現に有効な規約の書面」を作成することになっていた。
 総会終了後、委員長は委員会で作成した「有効な規約の書面(案)」を私に校正を依頼していた。校正を始めると私はジレンマに陥った。委員会の(案)を尊重したいが、修正せねばならないところを修正すると全体のバランスが崩れてくる。早い話が最初から全部作り直したいが、そうはいかない。
 マンション管理士の仕事(コンサルタント)を始めてから、悩まされることがある。顧客には幾つかのタイプがあって「最初から最後まで」コンサルに任せるタイプと、自分たちである程度進めて途中頓挫してから依頼してくるタイプ、そして自分たちが一定の結論(完成)に至った段階で「最後の確認」をコンサルに依頼してくるタイプだ。後者の仕事をした場合、私はジレンマに陥ることになる。
 途中から又は最後にコンサルを依頼された場合、その管理組合がこれまで進めてきた経過や結果に問題があっても、遡ってやり直すことはなかなかし難い。遡ってやり直すことはこれまでの活動を否定することになりかねない。私が経験や実務を通して学んだもっと良いアイデアや方法があってもそれを活かせない。結局「最後の段階でコンサルを活用する」ことは、コンサルの労多くしてその能力を有効に生かせないということになる。
 私は提案したい。もし全てをコンサルに任せることができないならば、最後に(または途中から)コンサルを活用するのではなく、「最初の段階」でコンサルを活用するべきだと。最初の方針や進め方に問題があるにもかかわらずそのまま進むことは、問題が拡大したり、途中頓挫する可能性がある。だからこそスタート時点でコンサルに「どのように進めるべきか、進めるうえでの留意点は何か」などを聞き、あとは自分たちで進めればよい。
 世の中には「最初が肝心」という言葉と「終わり良ければすべて良し」という相反する言葉があるが、コンサルの活用に関しては「最初が肝心」の言葉に従うべきではないだろうか。最初に進め方の留意点等をコンサルしてもらい、あとは自分たちが行う。もし可能であれば、最後の仕上げにもう一度コンサルを活用すればよいだろう。この時の仕上げ作業は大きな問題無しにいくはずである。
 ともあれこの管理組合は、私が2年間規約改正に寄り添い、その後の2年間は自分たちの実際の運用に照らして更に改正を試み、最後にまた私の確認を求めてきた。この管理組合の運営が今後も順調に進むことを祈る。《めでたし、めでたし》

■2017年5月20日(土)  後出しジャンケン

 5月20日、ある大規模修繕工事の施工会社ヒアリング。修繕委員会では施工会社から見積もりを取得し、この日4社に対してヒアリングを行っていた。
 午前中の2社目のヒアリングが終わり、施工会社が退席し、修繕委員は午後に備えて昼食の準備をしていた。その時、先ほどの2社目の営業部長が突然集会室のドアを開け、「あの~。お見積もりを持って参りました。」と言う。私は「見積の再提出はお願いしていないですが・・」と言うと、営業部長氏「ヒアリングに呼ばれたものですから・・」と言う。委員長が「見積はお預かりしておきましょう。」と言ってその場を収めた。
 昼食を終えるとある委員が「ところでさっきの見積りは、いくらになったの。」と聞く。委員長が封筒を開けて見積書に目を凝らすと、「一気に500万円も引いている。」と言う。各委員からは「なんだ、それ。」、「価格を引くんだったら最初から引けばいいのに。」、「今から一気に500万円も引くのは信用できない。」などの声が上がる。
 午後の2社のヒアリングも終わり4社を振り返ると、午後の1社と午前中に後から見積もりを出した2社のプレゼン内容が良い、という意見が多かった。しかし例の会社は後出しジャンケンだ。委員からは「内容が良くても、あのような会社は信用できない。」という意見が出され、委員会の大勢はその方向で固まり、結局プレゼン内容が良かった午後の1社が最終選定された。
 別のところである設計事務所と雑談をしていると、この後出しジャンケンをした会社は、別の管理組合でも同じことをして、そこでもやはり「信用できない。」という声が主流となり仕事を逃がしたそうである。
 全く別の事例だが、管理会社の選定をしているときにも同じことがあった。結局その管理組合でも後出しジャンケンの管理会社は落とされた。
 私が理解できないのは、このようなことをする会社は、これで仕事が取れているのだろうか。今の世の中(倫理観)では、このようなことはかえってマイナス効果になるという意識はないのだろうか。それとも世の中には、後出しジャンケンでも価格が下がればよし、として発注する事例が多いのだろうか。
 少なくとも私の周辺では、倫理面で不適切な対応をした会社は良い結果を生んでいない。多くの管理組合は、正々堂々と競い合うことが重要だと認識しているのではないだろうか。《めでたし、めでたし》

■2017年4月22日(土)  プロジェクターの魔力

 4月22日、ある修繕委員会。この管理組合では近々大規模な修繕工事を予定している。会合を重ね前回の修繕委員会では施工会社の選考をしたが、その選考結果に一部の委員から異議が出され、委員会は重い雰囲気で終わった。
 今日の修繕委員会は先日内定した「施工会社のヒアリング(面談)」と、近々予定されている「設計説明会資料の確認」である。
 最初に施工会社のヒアリングを行うと、前回反対意見を述べた委員から施工会社に質問が相次ぐ。的外れで相手に失礼な質問もある。一部の委員の連続質問に何人かの委員はウンザリした様子になり、修繕委員会の空気が重くなる。
 施工業者のヒアリングが終わり、次のテーマである「設計説明会資料の確認」を行った。前回の修繕委員会では設計事務所が資料を配付、説明したのち、委員から一部修正の要望が出されていた。今日の修繕委員会では、前回資料の修正版をプロジェクターで映し出し、設計事務所が説明していく。設計事務所は「これは前回説明しましたが・・・」と言いつつ確認していくと、一部の委員から「そういうことだったのか。よくわかった。」との声が出る。そのうち皆が自然に意見を述べ合い、設計事務所との質疑応答が深まっていく。委員会は先ほどまでの重い雰囲気が一変し、皆がワイワイ盛り上がる。説明が終了する頃にはすっかり全体が和やかになり、前回異議を述べていた委員も含め、皆「今度の説明会を無事終わらせよう。」と言い退席していった。
 これは何だろう。私も以前会社員だった時には会議でプロジェクターを使用したが、これまで私はプロジェクターというものを「説明者が出席者に自分の話を聞くことに集中させるためのツール」、「紙では説明しにくい写真や動画を見せるもの。」あるいは「資料のコピーを減らし資源やコストを削減させるもの。」と考えていた。
 今日は違った。皆が互いを見合うのではなく同じ方向(プロジェクターの画面)に向き、同時に共通の対象物(資料、写真)を見つつ意見を述べ合うとき、自然に出席者の間に連帯感が広がっていった。皆が同じ目標である「今回の修繕工事を成功させる。」ことを自然に共有していた。今日の会議でプロジェクターを使用することは理事長の提案だったが、見事のその目標を達成した。《めでたし、めでたし》

■2017年3月6日(月)  管理会社の弊害

 3月6日、ある管理組合の委員会。機械式駐車場の保守契約と保守会社の見直しをしている。この管理組合は、大手の管理会社が一括契約をしているが、分譲時から機械式駐車場とエレベーターの保守契約は、管理組合が直接契約している。
 築9年が過ぎ機械式駐車場に故障が散見される。機械式駐車場保守会社からは管理会社経由で、過去に実施していない5年点検とこれから迎える10年点検の見積書が提出されている。理事会は管理会社から見積を受け取ったが、故障が一部に出ている状況から、過去に行っていない5年点検をするのか、それとも少し我慢して10年点検(5年点検分を包含している)をするのか、判断がつきかねている。また10年点検は範囲が広い高額な見積書が提出されているが、その全てを行うのか、一部の実施でもよいのか、これまた判断がつかない。
 なぜ判断できないか? それは情報がないから。 なぜ情報がないのか? それは管理会社が機械式駐車場保守会社の見積りを理事会に提出するが、ほとんど説明しないから。でも、ここで疑問がわく。この管理組合の機械式駐車場保守契約は、管理会社を通さず保守会社と直接契約しているはず。
 ある別の管理組合でも同様の事があり、その機械式駐車場保守会社と直接面会して状況を確認したことがあった。その時この保守会社は「保守契約は管理組合と直接契約ですが、管理会社は私たちと管理組合が直接話すことを好まず、“すべて当社(管理会社)を窓口にするように”と管理会社から言われている。」という。この保守会社によると、管理会社によってこの辺りの対応は異なるようで、大手のいくつかの管理会社は、たとえ契約が保守会社と管理組合と直接であっても、すべての窓口を自分たち管理会社が行い、保守会社が管理組合と話をすることを好まない会社があるようだ。一方そうでない管理会社もあり、管理組合に提出した資料と結果だけを後で報告してくれればよい、という管理会社もあるとのこと。
 機械式駐車場保守会社の立場では、大手の管理会社とごたごたするのは得策ではないとの判断が働くこともあるようで、言いなりになる保守業者もある。ただ保守会社によっては管理会社の意向を気にしない会社もあるようだ。これは保守会社と管理会社の個別の力関係も働いているようだ。
 また保守会社の立場では、直接話ができないもどかしさがある一方、管理会社に任せてしまうことの気楽さや業務の負荷軽減もある。ただし結果として顧客である管理組合との間で意思疎通を欠き、重要な契約更新の問題になったときには、大きく劣勢に回ってしまうことになる。
 何が良いかは一概には言えないが、私には直接契約している保守会社が管理組合と直接話ができないことによる管理組合側のマイナス要因を、管理会社が自ら引き起こしていることに不満がある。このような事態は少しづつ変えていかなければと思う。幸いこの管理組合は、委員会機能がしっかり働いており、今後継続して直接保守会社とのやり取りができるだろう。《めでたし、めでたし》

■2017年2月3日(金)  行きつけの床屋さん

 2月3日、行きつけの床屋さんに行った。以前、30年くらい通い続けた床屋さんが閉店したため、床屋さんの新規開拓をして見つけたのが今の店。この店に通い続けて2年くらいだろうか。まだ30代くらいの男性が一人でやっている。
 特に理髪業務に大きな違いがあるわけではないが、いつも帰り際には、きちんとした規律の姿勢で深々と頭を下げ、「ありがとうございました。またお越しください。」と言う。その言葉は自然に私の心に響く。心から「また来てください。」という気持ちが伝わってくる。
 思えば私がコンサルタントをしているお客様との会議を終えた後、あそこまでの挨拶ができているだろうか。威張れることではないが答えは否である。
 あの床屋さんの挨拶は、どこから出てくるのだろうか。近くには千円か2千円の安い床屋さんがある中、自分の店を選んでもらうための必死の思いか。今の私にできていないが、大いに見習わなければと思う。《めでたし、めでたし》

■2017年1月30日(月)  トランプ大統領、お前もか!

 夜ニュースを見ていると、アメリカのトランプ大統領が続けざまに大統領令に署名し、その中の一つ(中東・アフリカ7か国からの入国拒否)が世界中で混乱を引き起こした、と報じられている。アメリカ国内でもデモが発生し混乱している。
 このニュースを見て思わず管理組合の事を思い出した。管理組合にも同様なことがいかに多いか。理事長に適さない人が理事長になり、理事会(管理組合)を誤った方向に導き混乱する。時折り見られる光景である。
 このような理事長には共通点があるように思う。よくあるタイプは、会社や所属する組織で「長」の付く立場になったことがない人が「理事長」になったとたんに、自分が会社の社長になったと勘違いし、独善的に何でもやってしまい、トランプ大統領よろしく混乱を招くケースだ。
 ニュースでは、アメリカの大統領令は法律と同じ権限があるそうだが、議会が大統領令を阻止する法律を作ったり、議会が大統領令を実施する予算を認めないことができるそうだ。言わばセーフティーネットがあるということだ。
 この点困るのが管理組合だ。おかしなことをする理事長に対して、歯止めをかけることがなかなか難しい。この歯止めは国の法律に当たる「規約」に頼るしかないが、標準管理規約は性善説に基づいて出来ているのかと疑ってしまうほど、無防備に感じる。それでも規約(伝家の宝刀)を引っ張り出してみるが、伝家の宝刀を抜いてみれば「竹光(たけみつ)」だったということになる。最後の手段は、「理事会で理事長を交代させる。」(理事長が理事の互選の場合)か、「総会で理事長を解任する」しかないが、トランプ氏同様、どこの世界にも困ったリーダーを支持する人(拾う神)はいる。そして結局、内部対立となる。
 予防措置(セーフティーネット)は、問題が発生していない平時に規約を改訂しておけばよいのだが、これまたそのようなときには、性善説を主張する人がいてなかなか進まない。でも、管理組合では会社と違って職位の上下がないのだから、詰まるところセーフティーネットは規約の整備しかないだろう。自説だが、「管理組合は伏魔殿」だと思う。平穏に見えていても、魔物がいつ、どこの陰から飛び出してくるかわからない。ひとたび魔物が姿を現せば、その城はしばし混乱の世界に陥る。心して運用しなければならない。

■2016年12月5日(月)  修繕積立金の抜け穴

 12月5日、ある管理組合の修繕委員会。この管理組合はこれまで管理会社の主導で修繕に関する会計を次のように処理していた。
「管理費」会計の中に「小修繕費」の科目があり、予算は年間10万円。
「修繕積立金」会計の中に「予備費」の科目があり、予算は年間100万円。
実際の修繕費の処理は、日常の数万円程度の小修繕は「管理費の小修繕費」から支出している。一方、十万円以上の日常の修繕は「修繕積立金の予備費」から支出している。
「修繕積立金の予備費」は、総会で予算枠のみを承認し、修繕内容、使途は理事会一任としている。
 しかし本来、修繕積立金は予算枠の総会承認を得れば理事会が自由に使える修繕費ではない。修繕内容と修繕金額を含めた「取り崩しを総会で承認する」ものである。
 そもそも修繕積立金は長期修繕計画に基づいて必要な資金をためていくものである。長期修繕計画で修繕積立金の収支計画を立てていながら、一方でその長期修繕計画に記載していない「予備費」で年間100万円の修繕費が理事会判断で出ていくのでは、長期修繕計画の意味がない。
 なぜ管理会社主導でこのような運営になっているのか。いくつか考えられる。
管理費そのものが不足しており、修繕費を全額管理費から支出すると管理費が赤字になる。そして管理費値上げを提案するのは藪蛇となる可能性が高い。(管理費値上げは、管理会社の変更か、または管理委託費削減に結びつきやすい。)
修繕積立金からの支出が細かく問われなければ、管理会社は予算内で自由に修繕工事ができる。
 このようなことを続けることは、管理会社にとっても本来良いことではない。いつかどこかで修繕積立金不足が露呈し、これまでのツケを支払うことになるのだが、多くの管理会社のフロントマン(担当者)はそこまで考えない。なぜならば担当者は数年で人事異動する。問題が発生したときは別の者が担当している。忙しい今、わざわざ自らの首を絞めるような面倒な問題に取り組まない。
 マンション管理には(ある意味では管理会社にも)、「今が良ければよい。先のことは考えない。」ことが蔓延している。私たちマンション管理士は、管理組合からコンサルを受託したとき、そのマンションの過去と現状を調べ、将来を予測する。長い時間軸のうえで物事を考える。
 この管理組合は、管理費支出を削減したうえで、来期より管理費の中の科目に「修繕費」(小修繕費ではない。)を設け、予算を100万円付ける。そして修繕積立金の「予備費」を廃止することとした。これで修繕積立金の「しり抜け」はなくなり、財政の健全化に向かって進んでいくことだろう。 《めでたし、めでたし》

■2016年11月5日(土)  ある理事長の覚悟

 11月5日(土)夜遅く、ある理事長からメールが届いていた。この管理組合も、過去3年近くにわたり公団型規約から標準管理規約団地型をモデルとした規約に改正し、2年前の5月の総会で承認されていた。
 ところが今期の理事の一部から、「この2年間の修繕費使用実績が一部の棟に偏っている。各棟の修繕費の使用実績に不公平が生じている。元の規約に戻すべきだ。」と意見が出た。この管理組合は、旧規約では修繕費(管理費会計の修繕費)を棟別に分けて管理していた。ただし標準管理規約で規定する(総会決議が必要な)「棟別修繕積立金」会計はない。
 規約改正により(総会決議が必要な)「棟別修繕積立金」を設定し、従来の管理費会計の棟別修繕費の残額をそのまま棟別修繕積立金に移した。一方、日常の修繕費は管理費会計の中に1科目「修繕費」を設け、全棟共通にした。この点について当時の理事会は慎重に検討したが、管理費会計の修繕費を棟別に分ける管理面の複雑さと「お互い様」の精神で行くことにした。
 「規約を元に戻すべき」の意見について、私は理事長の依頼で10月理事会に出席し、「現在管理組合で長期修繕計画を作成中であり、そのためには(管理費会計の修繕費ではない)「棟別修繕積立金」をきちんと積み立てていく必要がある。」と説明した。このため総会決議なしに自由に取り崩せる修繕費では、長期修繕計画が成り立たないこと、また、「修繕工事費」は「管理費から出す修繕費(日常の修繕)」と「修繕積立金から出す修繕費(計画的、特別な修繕)」に分けて考えるべきであることを伝えたが、声が大きい一部の理事は自分の主張を繰り返していた。他の理事は声の大きい理事に引っ張られがちで、私が退席した後の理事会では、概ね「前の修繕費の規約に戻す」方向となったようだ。
 理事長は、その後当時の規約委員やいろいろな方の意見を聞き、熟慮の末、「現在の規約を改正しない」ことを決断した。そして11月理事会の少し前に、全役員に手紙を書き、その中で自分の考えは、修繕費に係る部分の規約を前の規約に戻さないことと、その理由は何かをしたため、「次回理事会で私の意見について、信任投票をお願いします。」と信を問うた。
 理事会での結果は、理事長案反対2名、賛成15名となり、理事長案が信任された。この理事長は真剣に考え、自分が覚悟を決め、理事会に臨んだ結果、これまで大きな声に流されていた理事たちも、自らの判断で道を選んだようだ。
 理事長からのメールでは、「時計の針を逆に戻すことなく、将来に禍根を残す危機を回避できた。」とあった。そして「10月の理事会での北村マンション管理士の説明が、自分の考えに確信を持てる基になった。」と記されていた。何が正しいかは、誰もわからない。でも、覚悟を決めた理事長に、多くの理事が自分の考えで信を託したことは、管理組合運営の神髄の一部を垣間見た思いがする。 《めでたし、めでたし》

■2016年10月26日(水)  「仏作って魂を入れる」

 10月26日(水)、1年半ほど前に管理規約、細則を全面改正したお客様(管理組合)から規約に関する問い合わせが届き、回答した。この管理組合の規約改正は、毎月2回2年近くかけて規約改正委員会で検討した。約120時間かけて出来た計算だ。熱心な人が多く、時に意見を戦わせた。最後に規約改正が終わったときは私も一緒に打ち上げをした。打上げで私は「規約改正は終わりましたが、この規約改正を今後の管理組合(理事会)の運営を変えていくきっかけとしてください。規約委員会は解散せず、今後の理事会の運営を見守りながら、規約の番人となってください。」といった。
 少々大げさに思われるかもしれないが、この管理組合の規約は旧公団型の規約であり、管理員、会計、出納などの一部を管理会社に委託しているが、理事会、総会等は自主的に30年以上運営してきた。規約改正もこれまでほとんどしていなかった。
 私はこれまで公団型の規約改正をいくつもしてきたが、改正が終わり数年たつと、いつの間にか規約とは違う元の運営になっていることを目にしたことがある。市の相談会でも同様の相談を受けたこともある。時には「元に戻したい。」という人まで出てくるところもある。
 この管理組合は時計の針を元に戻すことなく、120時間かけて議論してきた方向に少しずつ進み始めている。30年間眠っていた管理組合が目を覚まし、規約改正が管理組合の運営と一部の中核となる人たちの意識を少しずつ変え始めた。 《めでたし、めでたし》

■2016年9月27日(木)~28日(金)  MALCAの研修

 9月27~28日、MALCA(一般社団法人マンションライフ継続支援協会)の研修を受けた。一言でいえば「大震災等が発生しても、マンションは比較的安全な建物であり、避難所に行かずマンションでの生活を継続する。自宅避難、マンション生活継続」である。参加者は25名程か。管理組合役員(防災担当)、管理会社担当者、警備会社、マンション管理士の4つの分野の参加者が主体のようだ。
 2日間の研修を経て多くのことを学んだが、講師となっている人たちが真剣に語る姿は心に残る。ある講師は、マンション管理士の役割を「伝道師」と表現した。「そうか。伝道師か。」と今も心に残る。実は少し前から、「防災(震災対応)はマンション管理士の本当の業務から少しそれているのではないか。」と思い始めていたが、この講師の話を聞き、防災(震災対応)は自分にとって役割の一つと改めて認識することができた。よく考えてみれば、マンションに特化した防災についてかかわるのは、マンション管理士か管理会社だろう。でも、管理会社は顧客との管理委託契約では「防災」は含まれていない。迷いの心が晴れていった。今後、マンション管理士がどのような形で防災(震災対応)に係わっていくのか、自分で研究しながら進めていこう。 《めでたし、めでたし》

■2016年8月11日(木)  恐山

 8月11日、私は夏休みに入った。今回は青森に家族で旅行に行く。10日夜、新幹線で八戸に着きビジネスホテルに泊まる。翌日朝から恐山と仏ヶ浦にレンタカーで出発する。恐山は「イタコ(巫女)」が死者の言葉を語ってくれる所という。
 11日明け方、夢を見た。私の大先生であり私をここまで導いてきた恩人である磯野重三郎さんが夢に出て私と話をした。

<<夢のあらすじ>>
 暗く冷たい川の中に胸まで水につかった磯野さんがいる。50代前半のようだ。私が見たことのない筋骨隆々とした若い磯野さんだ。
  • 磯野さんは私にこう言った。「オレの行く所がない。」(このとき私は夢の中で、「オレの居場所がないからどこかに連れていけ」と言われている気がした。)
  • 私は磯野さんに言った。「風邪をひくから、川から上がったほうがいい。」
  • 磯野さんは、「オレは風邪などひかない。」と言いながら、川から上がって、薄い布団か布のようなものを肩から掛けた。
  • 川から上がってきた磯野さんの周りには、数人の人影があった。人影は、年齢も性別も顔もわからない。ただ人の形をした影のような存在が磯野さんの周りにいた。
  • その後、夢の中で私と磯野さんは何かの乗り物に乗って話をしていた。

 恐山に行く前に磯野さんと話をすることができた。でも、この夢は重要なことを物語っているようだ。磯野さんのマンション管理士に対する熱い思いが、今の世の中に継承されていないと、言いたかったのだろう。「オレの居場所」とは磯野さんが終生の目標とした「マンション管理士が管理組合に感謝され、活躍する世界」ではないだろうか。私はこの夢を肩に荷物として背負い、これから生きていくことにしよう。 《めでたし、めでたし》

■2016年7月24日(日)  悪貨は良貨を駆逐する!?

 7月24日、ある管理組合。この管理組合では最近修繕積立金を大幅に値上げした。その結果、何人かの住民が自宅マンションを売却に出したとのこと。値上げの推進者が私であったことを思えば、そのために自宅マンションを売却する人々に対して忍びない。
 世に「管理不全マンション」と呼ばれるものがある。一般的には築30年以上経過し、30戸未満の小型マンションで賃貸率の高いものが多い。「管理不全マンション」では修繕積立金が少なく、建物の維持管理ができなくなってくる。住民の高齢化が進み管理組合が機能しなくなる。このような管理不全マンションは突然現れるわけではない。それらの現象が少しずつ現れると、金持ち(資産のある)住民から逃げていくようだ。金持ち住民は住戸を賃貸に出し、自分は他の住宅に引っ越していく。あるいは大幅に安くしても売却してしまう。この過程は俗にいう「マンションのスラム化」に直結していく。分譲マンションのスラム化とは、資産のある者から先に逃げ出す側面を持っているかもしれない。
 先のマンションはどうだろうか。修繕積立金大幅値上げで自宅を売却する人を単純に資産の面だけで判断することはできない。人それぞれの立場や考えがあってのことだ。でも売却しないで残る人は、大幅値上げの修繕積立金をきっちり支払い、このマンションを維持し、終の棲家にする覚悟を持っている人々のように思える。これは修繕積立金の値上げにより、マンションのスラム化とは逆の現象が起きたのだろうか。このような人々が残っている限り、このマンションがスラム化し、管理不全に陥る可能性は少ないだろう。 《めでたし、めでたし》

■2016年6月19日(日)  総会で一つ年齢を重ねる管理組合

 6月19日、ある管理組合の通常総会に出席した。この管理組合からは昨年1月に管理委託契約見直しの相談を受け、昨年8月にコンサルタント契約を結んだ。この1年間、管理委託契約の見直しから管理会社変更の臨時総会を経て、今日の通常総会となった。この間に管理組合が経験したことは、とても大きな意義を持つだろう。このマンションに住む組合員にとっても、推進した理事会においても、管理組合の歴史の1ページに残されるべきものである。
 この管理組合は満8歳(築8年)、人に例えれば、迷いつつも毅然として前進していく青年であろうか。
 犬の年齢を「ドッグイヤー」と呼ぶらしい。その意味するところは、犬は人間の7倍速く年を取るので、犬の3歳は人間の21歳に相当するというものだ。
 私は管理組合にも年齢があると思っている。いわく「マンションイヤー」だ。私の考える「マンションイヤー」は、マンション(管理組合)は人間の2倍の速さで年を取る、というものだ。築8年の管理組合は16歳、築9年のマンションは18歳、とすればこの管理組合は16~18歳くらいだろう。築20年の管理組合であれば人間の40歳、築30年は60歳、築50年は100歳となる。
 そのように管理組合を見ていくと、その管理組合の立ち位置が見えてくる。
 青年であれば、これから大学入試、入社、結婚と重要なイベントが待ち受けるが、管理組合ではさしずめ第1回目の大規模修繕工事が待ち受けるだろう。築8年で新たなチャレンジを経て一つのことを成し遂げた管理組合は、今後の試練にもきちんと立ち向かっていくだろう。 《めでたし、めでたし》

■2016年5月29日(日)  修繕積立金の値上げ(3/26続編)

(この日記は、3月26日の続編です。)
 5月29日、ある管理組合で「修繕積立金改定(値上げ)」の臨時総会を開催した。3月26日と4月に「住民説明会」を2回開催し、組合員に十分と思われる説明を行ってきた。2回目の説明会は1回目に比べ、組合員からは値上げに対してやや懐疑的な意見も出されたが、その後の理事会で検討したところ、改定金額の変更を希望する意見が出されなかったため、これまでの方針のまま臨時総会を開催することとした。
 本日臨時総会。委任状(議長委任3名=承認)、議決権行使書による反対者は3名。通常、管理組合の総会は、普通決議であれば総会開始前に、委任状・議決権行使書で結果が読めることが多いが、今回は全く結果が読めない。これまでの説明会では乗り切れそうな感触だが、小さな管理組合では、総会の場での1人の意見が大きくその場の議論を左右し、議案が否決されてしまうケースもある。本日出席する組合員は、総会の議論を聞いてからその場で自分が判断しようと思っているようだ。
 臨時総会が開始され、議長の進行ののち、管理会社から議案の説明があった。議題は「長期修繕計画の承認」、「管理費(値下げ)・修繕積立金(値上げ)の価格改定」だ。議案の本丸は「修繕積立金の改定」だが、管理費の値下げだけでは追い付かず、修繕積立金も大幅な値上げとなる。
 1号議案の長期修繕計画は質疑もなく承認。2号議案の「管理費・修繕積立金改定」に入ると、長期修繕計画への意見が蒸し返されてきた。私はこれらの質問や意見に丁寧に答え、議長が最後に採決したときは、会場出席者の6割の賛成で辛くも承認された。実にきわどい結果であった。
 懐疑的な意見や反対意見の動向を分析してみると、次のようなことが言えるかもしれない。
  • こちらの説明に少しでもミスや不備を見つけ、議案の信頼性を失わせようとするもの。(理事会に議案を引き取らせ、今回は流会とする。)
  • 管理会社に対する不信感。(他の組合員にも共感を呼びやすい。)
  • 長期修繕計画そのものに対する不信感や長期修繕計画を価格改定の基準として考えることに対する反対意見。
  • 話は理解できるが、実際の自分の立場で値上げされたくないという「現実的な反対」。(値上げは仕方がないが、価格を見直してほしいも含む。)
 結果として議案は承認されたが、総会後の理事会ではなんとなく理事が皆すっきりしない。
 私は考えた。もし今回の過程で足りないところがあるとしたら、2回にわたる住民説明会だけで改定価格を判断したことが十分だったのか。値上げの必要性と根拠までは理解したが、「多くの人の合意」に向けてきちんと対応したか。計算して出した数字に、合意形成の魂を吹き込む努力は十分だったろうか。今後の私の糧としたい。
 ともかくこの管理組合は、今後当面修繕積立金問題を乗り切れるだろう。 《めでたし、めでたし》

■2016年4月9日(土)  専門委員会の答申

 4月9日ある管理組合の理事会で、第1回大規模修繕工事の施工会社選定について、修繕専門委員会から施工会社選定の答申が行われた。
 この管理組合では、修繕専門委員会を6名で立ち上げこれまで検討を進めてきた。施工会社を業界新聞で公募し、書類審査を行い、見積審査で価格の安い4社に絞った。3月下旬、この4社のヒアリングを行い、最終1社を内定しようとしたとき、意見が割れた。
 最安値を出した会社は、書類審査をパスしてとはいえ、企業規模が小さく、またこのマンションのような大型案件の経験も少なかった。2番目の低価格を提出した企業は、大手ゼネコンの子会社でありネームバリュー、企業規模、大型案件の実績、そして現場代理人のキャリアなど、どれをとっても完璧だ。ただし、一番目の会社と1,500万円の見積価格差がある。この差額をどう見るか、委員会で議論となった。
 委員は6名であるが、当日の委員会は1名が欠席し 5名である。委員長は今後自分たちのマンションが修繕積立金の値上げをせざるを得ない状況から「価格優先」を主張、これに他の2名の委員が同調した。他の2名は、企業規模、実績優先を主張した。最後に採決の結果、3対2で価格優先となり最低価格の企業を委員会案として内定した。
 ところが、企業規模・実績優先の2名のうち、1名はどうしても納得しない。委員会終了後2-3日経って、答申する理事会に自分も出席し、理事に説明したいと言い出した。委員長は理事であり、当然委員長が理事会で説明するのだが、理事会の場で理事を説得するつもりのようだ。理事会の場が委員長と委員の論戦の場となってしまうかもしれない危機が訪れた。理事長は反対派委員に優しく諭し理事会への出席を思いとどまらせた。反対派委員は出席を断念したものの自らの主張を文書にし、理事会での配布を要求した。
 委員長からは見解の相違があり意見が割れたことなどがきちんと報告され、採決の結果、委員会答申が承認された。もしあの時、反対派委員が理事会に出席し、理事会を論戦の場としたらどうなったであろうか。本来、委員会答申は、理事会で承認されなければ「差し戻し」が原則だが、差し戻されても委員会では結局同じことを繰り返すことになっただろう。ある管理組合の「専門委員会細則」では、委員会の採決の結果、答申案が4分の3以上の賛成でまとまらない場合は、一応委員会案のほか、対案と委員の賛否の状況も併記して具申することが明記されているものがあった。これは、4分の3に達するまで時間をかけて話し合うことを行わせる趣旨だ。
 ともかくこの件、理事会と委員会のそれぞれの運営がおかしなことにならずにホット一息。 《めでたし、めでたし》

■2016年3月26日(土)  修繕積立金の値上げ

 3月26日ある管理組合で「修繕積立金改定(値上げ)の住民説明会」を開催した。かなり規模が小さいマンションであったが、10名ほどの組合員が出席。約1時間資料を基にした説明を行い、質疑を求めたが2件。それも「やむなし。」の意見であった。このマンションは築8年。分譲時の修繕積立金計画は、3年ごとに6回値上げが計画され、分譲時一戸当たり平均約5,500円の積立金は18年後に33,000円となる計画。ところがこの8年間修繕積立金が一度も値上げされていない。本来2度値上げされ15,500円程度の予定が、まだ5,500円のままだ。
 2年前の総会で修繕積立金改定の議案が出されたが、否決されてしまった。
 その時の総会意見では、「現管理会社が作成した長期修繕計画が信用できない。」とか、「まず管理費削減をしてから修繕積立金の改定を議論すべき。」といったもの。その後、理事会ではマンション管理士をコンサルタントとして契約し、1年半掛かりでここまで来た。
  • 現在の管理会社との管理委託費の見直しを実施(価格交渉)。
  • その削減分を修繕積立金に振り替えた。
  • 管理会社が作成した「長期修繕計画」を管理会社と協議して見直し。
  • そのうえで、長期修繕計画に基づく修繕積立金の目標額を設定。
  • 最後に、修繕積立金の改定額を設定した。
 これら一連の改定検討過程で理事の皆さんが認識したことは、値上げを遅らせれば結局その分のツケが後から自分たちに降りかかってくる、ということだった。このことは説明会でも理解され、問題の先送りはもはやできないとの共通認識ができた。何しろこのままでは4年後の大規模修繕工事は一時金を徴収しなければならないからだ。今回の改定で4年後の大規模修繕工事の一時金徴収は免れることができそうだ。
 この後、臨時総会を行うが、組合員の皆さんの見識で、この問題は乗り越えることができるだろう。 《めでたし、めでたし》

■2016年2月20日(土)  少しおかしな「役員公募」

 2月20日ある管理組合の理事会。この管理組合には9名の役員がいる。(理事8名+監事1名)。迫ってきた通常総会に備え、次期役員候補者について話し合っている。実は現役員9名中7名は前期(またはそれ以前)からの再任で、今期輪番で新たに役員となった者は2名である。管理規約の「役員の任期」の条文は「役員の任期は1年とする。ただし、再任を妨げない。」という標準管理規約どおりである。その他の規定はない。
 再任している役員7名は、皆同じ目的に向かっている。「現管理会社への不満・不信から管理会社を変更したいこと。」と「給水管・給湯配管の専有部分を含めた更新を遂行すること。」の2点である。毎回の理事会は、多岐にわたる問題を含めて4時間以上に及ぶほど熱心だ。
 ところで何が問題か? 管理会社の見直しに関連し、現管理会社のシンパと思われる組合員(元役員含む)が役員に立候補するとの情報があることだ。
  • 従来同様「役員の立候補」を公募するが、もし5名の応募者があった場合どうするか。
  • 理事会活動の継続性を確保するため、現在の9名中5名は継続(再任)し、新規の役員は4名とすべき。5名の応募があれば4名のみ受け付けよう。
  • その場合の4名の選出はどうする? 5名の中で決めてもらおうか。
  • 5名全員認めることもやむを得ないか。
  • 理事会活動の継続性を考え、これまでの慣例として、やはり5名留任は必要だ。
 まだ公募前であり、何人立候補が出るかわからない。
 でもこの議論、少しおかしな部分がありそうです。
  • 理事会活動の継続性を盾に、いつの間にか「再任優先」になっている。
  • もし公募が5名あり、再任希望の役員が7名いれば、この12名は同列(同等)に扱わなければならないのではないだろうか。
  • 事前に理事会で役員候補者を調整したり制限する権限はないはずだ。
  • もちろん、管理組合活動を円滑に進めるために、理事会が骨を折り調整することを否定はしないが、恣意的な優先順位が出てくれば組合員は納得しないのではないか。
 そもそも規約には、公募(立候補)に関する規定は何もない。また一方「理事会活動の継続性」とは、自分たちが進めようとしている管理会社変更を途中頓挫させたくないため、理事の過半数を確保したいという思惑が透けて見える。
 その後この管理組合では、臨時総会を開催して管理会社変更を審議したところ否決され、2か月後の通常総会では公募による役員候補者5名が役員に就任し、これまでの役員再任者も4名が就任、同じ船に乗って管理の向上を進めていくことになったようです。 《めでたし、めでたし》

■2016年1月4日(木)  事務所の移転

 1月4日、この年末年始に事務所を移転した。同じ南流山でこれまでのところから徒歩3-4分。9月頃から移転の必要性に迫られていた。ヒマを見ては2-3の物件を見て回る。そこで接した不動産仲介会社の営業は、私の想像外だった。
  • ともかく決断をせかされる。どうやらこの世界は、生き馬の目を抜く世界らしい。いわく、「早く決めないとほかの人が申し込みますよ。あの物件は人気がありますから。」
  • 対応がやたら丁寧すぎて、逆に不安になってくる。等々。
 仕事が忙しいこともあり、その後1か月位、物件探しを中断していた。しかし最後に見た物件が頭から離れない。ついにその物件を契約した。
 これから10年、自分がこの仕事をする拠点として。  《めでたし、めでたし》

■2015年12月25日(木)  大規模修繕工事の現地調査

 12月25日、ある管理組合で進めている大規模修繕工事の見積書提出締切日。この管理組合は「設計監理方式」を取り入れ、設計仕様を決めた後、工事施工会社の見積取得に入った。新聞で施工会社を公募し12社から応募があり、書類選考のうえ9社に見積もりを依頼した。見積依頼会社が相互に知れることがないよう、現地調査の日時を各社区切り、その現地調査に立ち会った。
 現地調査は3日間、9社に立ち会うと色々なものが見えてくる。その後、各社から見積もりが提出され、本日は理事長立会いのもと、見積書の同時開封を行った。見積書一覧表を作成すると・・・。現地調査の様子が二重写しになり、そこに見えてきたものは・・・。
(A社)
大手、しかし現地調査は気合が入っていない。参加者3名。そのうち2名は下請け会社の社員。そこそこ見てさっさと帰っていく。出てきた見積書は9社中、高いほうから2番目。見積に応募してきた会社のはずなのに、義理か付き合いで嫌々現地調査に来たような感じすら受ける。
(B社)
やはり大手、若手社員2名が調査に来た。この案件を取りたいといった意気込みが強く感じられる。今回の大規模修繕工事の設計事務所が施工会社選定にタッチしていない(見積依頼した施工会社がどこか、設計会社には知らされていない)ことを知り、一層やる気を出したようだ。出てきた見積書は、9社中ダントツの1番札。
 後で知ったことだが、A社はこの工事の設計事務所と仲の良い会社。B社は特に親しい関係ではない会社。仲の良い会社はやる気がなく高い見積価格を出し、関係の薄い会社がやる気を出し思い切った価格を出す。これはどう考えたらよいのだろう。
 B社の見積金額は、設計価格の7割以下。最も高いC社は、A社とともに設計価格の9割程度。そういえば、設計事務所は「おそらく工事価格は設計価格の9割程度でしょう。」と言っていた。設計事務所の読みは大きく外れた。だが、一番札を取ったB社は、そのヒアリングで、価格を安くできた十分納得できる説明ができ、又、新たに素晴らしい提案もした。この管理組合は、適切な価格で、良い施工会社を選択できたようだ。  《めでたし、めでたし》

■2015年11月15日(日)  管理会社からの見積取得

 11月15日、コンサルタント契約中の管理組合で、今、管理委託契約の見直しをしている。どこの管理会社に見積もりを依頼するか? 実は一番大切な問題が、入口に控えている。
 管理委託契約の見直しをするとき、こんなことを聞く。「A社とB社に見積を依頼した。」。どこに依頼してもよいが、でも組合員から「なぜA社なのか? なぜB社に声をかけたのか?」と聞かれたとき、どう説明するのだろうか。「C社になぜ声をかけなかったのか?」と聞かれたらどう説明するのだろうか。いわく「ある理事から、A社はいい管理会社だと推薦があった。」、「ホームページを見たらB社がよさそうだった。」。一応回答ではあるが、それは本当の意味で「なぜ?」にこたえていない。先ほどの回答は、質問者が納得できる回答だろうか。ある人の推薦は適切な情報に基づくものだろうか。その人もどこかで聞きかじった話だろうか。
 管理委託契約の見直しを始めると、どこの管理会社から見積もりを取得するかが、最も大切な第一歩だと気付く。その後の検討は、この最初に声をかけた会社と進めることになるから。入口が間違えていれば良い結果は得にくい。
 あるときマンション管理士会の相談会で、「自分たちが5社から見積もりを取ったが、この先どう選んだらよいかわからない。マンション管理士さん、選んでください。」と言って、目の前に5社の見積もりを出された。これには答えられない。そもそも見積の仕様が各社ばらばらだ。この管理組合は、その後紆余曲折を経て、なんとかある会社を選定したという。   《めでたし、めでたし》

■2015年10月8日(木)  長期修繕計画のウラオ・オモテ

 10月のある日、「マンション管理適正化診断」を行った。対象は複数建物がある極めて大型の団地だ。様々な資料を基に診断チェックシートに基づきヒアリングしながら調査を進めていく。
 この管理組合は、自主管理ではないが、かなり自主的な運営をしている。複数の理事が管理事務所で日常的に管理組合の仕事を執り行っている。大規模修繕工事は全棟同時に工事するのではなく、年ごとに棟を決め、毎年見積を取りながら工事を分割発注している。修繕積立金の資金配分と工事の緊急性のバランスを見て、工事を行っているという。
 この管理組合の「長期修繕計画」は、世間で言うものとかなり違う。独自の様式で計画表を作成している。一般的な「長期修繕計画」は建物・設備面から見た資金の需要を軸としているのに対して、ここの計画は資金面の供給と修繕の緊急性のバランスで行っている。ただしこの計画では長期の資金計画は立て難い。
 一方、管理会社ががっちり作成した長期修繕計画表は、工事金額が高めに設定されていることもあり、また潮風が当たらない常磐線沿線でも鉄部塗装工事の周期を4年に設定していたりすることもある。
 このようなやや割高な計画に基づいて修繕積立金を集めることは将来的には安心であるが、時に起こりうることは、大規模修繕工事で多額の支出をしてしまうことである。計画が高めに設定されているので、そこから「少し」価格が下がればよしよし、となる。ある人(マンション管理士ではない人)がこんなことをいっていた、「修繕積立金をたくさん集めれば、知恵も汗も出さず、無駄使いをしてしまう。」「修繕積立金が多ければ、ガードが甘くなり、無駄な工事の発注や高い工事も十分な相見積もりを取らずにやってしまう。」
 マンション管理では、修繕積立金を基にしっかりお金をためていくやり方が常道だが、あえてぎりぎり低空飛行をしたり、はたまた10年以上先のこと等考えないやり方をしているところもある。果たしてどちらがどうなのか。
 右にぶれても左にぶれても危ういのが管理組合の運営。先ほどの管理組合の様な運営は、定まったルールだけを頭に刻み込んでマンション管理を考えると危うくも見えるが、セオリーにこだわらず先入観なしに見れば、その都度目先の処理に知恵を絞って運営していくスタイルも、一つの道か。この管理組合が10年後も健全に運営されていることを願う。  《めでたし、めでたし》

■2015年9月21日(月)  浜名湖

 9月19日~23日5連休、シルバーウィークというらしい。浜名湖に家族で旅行に行く。家族で湖周を3時間サイクリングして気持ち良い汗を流す。絶好のサイクリング日和だ。そのあとは、お目当てのウナギを食する。私と娘の亭主二人はウナギが大好きだ。(男は皆ウナギが好きか。)。女房はウナギをあまり好きではないが、「白焼き」を喜んで食べた。いわく「生臭くない」そうである。また、浜名湖のウナギは「泥臭くない」とも言った。さっぱりした味がいいらしい。
 舘山寺温泉は静かで落ち着いた雰囲気がある。舘山寺にもお参りし、家族の安泰と事業の成長を祈った。(100円のお賽銭にしては、欲が深い!)。良いお天気に恵まれ、おいしいウナギを食べ、家族全員で幸せなひと時を過ごすことができた。そして、久々に「マンション」という言葉のない時間を過ごした。 《めでたし、めでたし》

■2015年8月12日(火)  「なりきる」ということ

 今日は夏休み、家族で旅行に行った。食事後、ホテルのロビーで和太鼓の演奏があった。2つの和太鼓を数名のメンバーが入り乱れて打ちまくる。そんな中にひときわ目立つ奏者がいる。誰の目にもこのチームのリーダーのように見えるだろう。このリーダーは何が違って見えるのか?
 みな一所懸命に太鼓を打っている。でも彼は、太鼓をたたく人になりきっていた。太鼓が自分の一部であるかのように太鼓と一体となっていた。その表情、そのしぐさ、そして体全体が誰の目をもはばかることなくしなやかに、そして自由に動き回る。他の“一所懸命”の人とどこが違うのだろうか。
 その後ある答えに行き着いた。「“一所懸命”とは、対象物(太鼓)に相対する姿勢であるのに対し、“なりきる”とは、自分と対象物が一体となった様をいうのだろう。」
 私も(あの太鼓奏者のように)マンション管理士として、“一所懸命”の域から脱し、“マンション管理士になりきる”ようになりたい。
 そんなことを考えていたら、死んだ親父から私が小中学生の頃に聞いた言葉を思い出した。「人は、らしく、たる、ぶる、ことが大切」だという。この言葉は親父が学生の頃、学校で偉い人から聞いた言葉だそうだ。(親父もよく覚えていたものだ。)
 今の私の立場に当てはめるなら、「マンション管理士らしくする。マンション管理士たることをする。マンション管理士ぶる。」ということになりそうだ。でも最後の「ぶる」は少し抵抗がある。それとも私が「ぶる」の本当の意味をまだ理解していないのだろうか。いつかあの世に行ったら親父に聞いてみよう。 《めでたし、めでたし》

■2015年7月9日(木)  幻の総会決議

 今日は、ある管理組合のペット問題の相談。理事長、副理事長、担当理事2名(計4名)で、長年懸案のペット問題への対応を協議した。この管理組合は、使用細則で「他人に迷惑、危害を及ぼす動物を飼育してはならない。」という、いわゆるあいまい規定だ。
 理事の皆さん曰く、「10年前の総会で、現在飼育中のペット1代限りの飼育を認める。他の者の飼育は禁止。」を決議したという。しかしその後の具体的な措置(1代限りのペットの届出、登録等)が行われず、また組合員全員から飼育しない旨の誓約書をとるはずだが実施されていない等、具体的な施策が実施されないまま10年近く毎期理事会の引継ぎ事項で先送りされている、という。
 そこで、当時の総会議案書、議事録を拝見すると、決議されたはずの総会の議事録にも議案書にも「ペット」の「ぺ」の字も見当たらない。更に尋ねると、過去からの理事長引継メモに「組合ニュース」があり、そこに「先の総会第1号議案(事業報告)で承認されたペット1代限り・・・」とある。理事の皆さんに確認したが、10年近く前で明確な記憶がない。どうやら総会で「1代限り」の意見が出されたらしい。もっとも議事録にはその意見の記載もない。(後ほど、推測のとおりであることが確認された。)
 結局、議事録に記載されていない意見が、次期理事会で独り歩きし、「総会で承認された・・・」となり、それが組合ニュースで広く配布され、毎年、当然のことのごとく理事会で引き継がれている。
 今度の総会まであまり時間的余裕がないことから、今期は、過去の幻の総会決議「ペット1代限り」を正式な議案として上程することとした。
 ただし、そのまますんなりいくとは考えず、むしろここから真の検討が始まるスタート地点と位置付けて。今期どうしたらよいか暗中模索だった理事の皆さんが、やっと方向を見出し、今後、真の話し合いが行われることを目標として取り組む事とした。 《めでたし、めでたし》

■2015年6月11日(木)  元理事長の心配事

 昨年、ご高齢のK理事長から総会議案について相談を受けた。この案件はスムーズに片付き、今年春に別の相談を受けた。この時Kさんは既に理事長を退任していたが、その後の理事会の活動にいろいろご意見をもっておられる。聞くと確かにKさんの言わんとすることがよくわかる。理事会の活動に問題があるようだ。
 今日、3回目の相談があった。相談内容は、「今の管理を担当している会社が、マンションの管理委託契約を今度の総会で別のA社に変更する。」という。Kさんはその理由が釈然とせず、喉元に刺さった魚の小骨のようにじっとしていられない。
 現在の管理を担当している会社から配布された文書を読むと「事業移管のため」と書かれている。早速ホームページで調べると、その会社はマンション管理部門から撤退し、グループ会社に事業を移管するようだ。その事実をきちんと伝えると、Kさんはひどく安堵した。どうやら住民の中に問題を起こす人がおり、管理会社がそれに嫌気がさして自分のマンションを見放すのではないかと心配していたようだ。
 後日電話が来て、「総会では、北村さんのおっしゃるとおり、現在の会社がマンション管理部門から撤退し、業務をグループ会社に移管することが、はっきり認識できました。」と言って、こちらがビックリするくらいとても喜んでいた。Kさんにとっては、管理会社から見捨てられたのではないことが、そんなにもうれしいことなのだ。 《めでたし、めでたし》

■2015年5月17日(日)  総会決議の本質

 今日はA管理組合の総会。この管理組合の規約改正を請負い、1年半以上かけて管理規約と細則を規約改正委員会の方々と整備してきた。
 規約改正の総会決議は、管理規約に「組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。」とある。いわゆる特別決議であり、理事会は総会の議事進行、議案書ともに細心の注意を払って準備を怠らなかった。
 総会当日、議事が順調に進行し、規約改正の議案となった。規約・細則の改正は、総会前に2回もご丁寧に説明会を開いた結果、難しい案件があったにもかかわらず承認を得られそうだ。
 議長:それではこの議案をご承認いただける方・・・(人数カウント)
 議長:現在集計しております。少々お待ちください。
    (それから10分待った。理事も議長も焦る。)
 議長:ただ今集計しておりますが、1名合計数字が合いませんので、先に他の議案を進めます。
    (別の議案が承認後、ようやく・・・。)
 議長:お待たせしました。それでは結果を発表します。
    ・賛成:〇〇人。〇〇議決権数。
    ・反対:〇〇人。〇〇議決権数。
    ・棄権:〇〇人。〇〇議決権数。
    ・欠席:〇〇人。〇〇議決権数。
    よって本議案は承認されました。
 集計が長引いた理由は、賛成以外の票(反対、棄権、欠席)の合計が総組合員数に1名足りなかったためという。
 これらは、事前に提出されている委任状、議決権行使書、総会当日の受付け、総会の場での挙手のカウントを総計していた。
 (総会の場でも、賛成:〇〇人・反対、棄権をご丁寧に挙手させて集計していた。)
 でもちょっと待ってください。
 総会の決議は、規約改正の特別決議といえども、「組合員総数と議決権総数の4分の3以上の賛成で決する。」のです。賛成の人が4分の3以上あれば良いわけで、残りの人が「欠席、棄権、反対」のどれであっても構わないのです。賛成票以外は集計する必要ないのです。
  今度から、規約改正のコンサル後は、総会決議のカウント方法も助言することとしよう。 《めでたし、めでたし》

マンション管理士とは

マンション管理士は、専門的知識をもってマンション管理組合の運営、その他マンションの管理に関し、管理組合の理事長、役員等の相談に応じ、適切な助言や指導、援助等のコンサルティング業務を行う国家資格者です。
マンション管理士は、マンション管理のスペシャリストとして、管理組合の立場でマンション管理に関する様々な問題の解決をサポートします。

対象エリア

■千葉県:流山市・柏市・我孫子市・野田市・浦安市・市川市・船橋市・松戸市・鎌ヶ谷市
■東京都:足立区・葛飾区・北千住  ■埼玉県:八潮市・三郷市  ■茨城県:取手市・土浦市・守谷市・つくば市・龍ケ崎市・牛久市